法遺伝学セミナー

2014年11月11日

Dr. Charles Brenner
(Forensic Mathematician, DNA-VIEW software UC Berkeley, School of Public Health)
Principles of Calculating DNA Evidence, Especially Mixtures.

【講演の背景】
Charles Brenner博士は、カリフォルニア在住の数学者で、血縁鑑定や大規模災害における身元確認のため世界中で使用されている「DNA-VIEW」ソフトウェアの考案者である。世界で最初にForensic Mathematics(法数学)という新しい学問領域を提唱したことでも有名である。それまでも法遺伝学に関わる数学的な諸問題は議論されていたが、博士はそれらの問題を極めて明解な理論で解決した。DNA検査の普及とともにBrenner博士の法数学は法遺伝学領域の推計学的解釈のグローバルスタンダードになってきている。最近になってBrenner博士は、複数のヒト由来のDNAが混合した試料(混合試料)や微量試料の数学的解釈法を新たに提唱した。微量混合試料の分析結果の評価方法は未だ確立しておらず、わが国では分析があまり進んでいないため、博士の新しい理論が今後の微量混合試料分析に大きく寄与することが期待される。本講演では、博士に微量混合試料分析の最新理論について説明して頂くと共に、今後の微量混合試料分析のあり方について議論を深めたいと考えている。

2014年6月14日

Prof. Dr. Peter M. Schneider
(ケルン大学法医学研究所 分子法遺伝学部門)
Interpretation of complex STR typing results – challenges and perspectives.
Dr. Michael D. Coble
(アメリカ国立標準技術研究所(NIST) 応用遺伝学部門)
NIST Mixture Interpretation Interlaboratory Study 2013 (MIX13) – Lessons Learned and Future Directions.

【講演の背景】
巧妙化した現代の犯罪捜査においてしばしば問題となるのは、複数のヒト由来のDNAが混合した試料(混合試料)や微量試料の分析である。このような試料では、何人のDNAが混合しているのか、犯人のDNAが現場試料に含まれる確率はどの程度かなどを数学的に評価することが求められるが、その評価方法は未だ確立していない。講師であるSchneider教授は、国際法遺伝学会(ISFG)の重鎮であり、ドイツ国内だけでなく、世界中のDNA鑑定を牽引している。Coble博士は、米国のDNA鑑定に関して、各検査機関に対する指導的役割を担っている。本セミナーでは、両氏に微量混合試料の基礎的な話から、各国の最新事情まで幅広く話をして頂くことで、今後の微量混合試料分析のあり方について議論を深めたいと考えている。

2010年3月18日

Dr. Charles Brenner
(Forensic Mathematician, DNA-VIEW software UC Berkeley, School of Public Health)
Frontiers in DNA identification – relatives of bodies, heirs, and criminals
(DNAによる個人識別の最前線 死者の血縁者、遺産相続者、犯罪者をどう判定するか)

【講演の背景】
Charles Brenner博士は、カリフォルニア在住の数学者で、血縁鑑定や大規模災害における身元確認のため世界中で使用されている「DNA-VIEW」ソフトウェアの考案者で、世界で最初にForensic Mathematics(法数学)という新しい学問領域を提唱した。それまでも法遺伝学に関わる数学的な諸問題は議論されていたが、博士はそれらの問題を極めて明解な理論で解決した。特に、複雑な血縁鑑定における尤度比の利用や、突然変異アリルの処理、集団調査における稀なアリル頻度に対する考察は高い評価を受けており、DNA検査の普及とともにBrenner博士の法数学は法遺伝学領域の推計学的解釈のグローバルスタンダードになっている。

2008年12月9日

Prof. Yuri Dubrova
(レスター大学 遺伝学講座 教授)
Radiation-induced transgenerational effects in mammals : A story of a stable instability
(ほ乳類における放射線が誘起する継代効果 -“安定化してしまった”不安定性について)

【講演の背景】
Dubrovaらはチェルノブイリ原発事故後の放射能汚染について、それまでは不可能であった小数例や表現型として表れない被曝の判定をミニサテライトの突然変異率の上昇という形で示して発表し、大きな話題となった。その後、彼らはこのようなミニサテライト不安定性の変化は、放射線だけでなく抗ガン剤など化学物質暴露についても起こることを示した。ミニサテライトの突然変異はgermline特異的であるが、male germlineであれば、精子DNAからリピート長の変化を検出すればよいので、従来の多数の子孫を検査することなく、正確なモニターが可能となる。また、放射線被曝させてミニサテライト突然変異率を上げたマウスにおいて、その子孫では、高い変異率が維持されるという驚くべき実験結果が報告された。

2006年11月1日

Dr. Jerome Buard
(CNRS研究員、Meiosis and Recombination Group、人類遺伝学研究所、モンペリエ・フランス)
Dynamics of recombination hotspots in man and in mouse.
(ヒトとマウスにおける組み換えホットスポットの動態)

【講演の背景】
現在、我々はヒトやマウスゲノム内の様々な種類の多型を利用して、効率的に研究を進められるようになったが、その多型性をもたらした要因について知見は意外に少ない。特に高等生物の染色体における組み換えホットスポットは、長年その性状は謎であった。講師であるBuard博士は、ヒトゲノムの中で最も高い突然変異を起こす身にサテライトであるCEB1と府ランキング領域の分析おw通じて、組み換えホットスポットの性状を人を含む脊髄動物で初めて明らかにした。また、反復配列のため解析が大変困難なヒト染色体セントロメア極近傍の解析にせいこうし、クロマチン構造とホットスポット、染色体の分離に関して重要な知見をもたらした。