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2022

 

法数学勉強会 5月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

1)実務面からのアプローチ

「正確なメチル化率解析に必要なDNA量はいくらか?」
濱野 悠也 先生

近年注目が高まるDNAのメチル化は、1分子レベルではオンかオフかの、いわばデジタルな情報である。そのため、DNA分子の集団のメチル化率の定量という事象は複数回のコイントスのようなベルヌーイ試行として扱うことができる。本発表では、メチル化率の定量という事象に対して数学的にシミュレーションを行い、正確なメチル化率解析に必要なDNA量について考察を行った研究を紹介する。

「混合資料の解釈において法科学者に求められること」
眞鍋 翔 先生

本勉強会ではこれまでに、混合資料における尤度比の計算方法や統計学的モデルについて紹介してきた。しかし、混合資料の解釈においては数学的・統計学的理論のみの理解では不十分であり、法科学者自身がDNA型判定結果を解釈すること、及びソフトウェアから得られた尤度比の結果を正しく説明することが求められる。今回は混合資料の解釈の全体像を概説し、その中で法科学者に求められる役目について理解を深めることを目的とする。

2)数学面からのアプローチ

「法医学におけるAI画像学習の基礎」
山田 亮 先生

画像はピクセルという多数の情報単位の集合体であり機械学習に向いています。
学習の諸手法の中でも、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)が画像の学習に向いているので、法医学分野の画像データの例に触れながらCNNの基礎を紹介します。

2. 次回の予定について
 

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2021

 

法数学勉強会 7月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

1)数学面からのアプローチ

「次世代シークエンシングによるSTRタイピングのための機械学習」
山田 亮 (京都大学 統計遺伝学教授)

STR領域のNGSデータを教師アリ学習させる例を取り上げ、その例が、機械学習による「教師アリ分類問題」であることを説明し、様々な分類問題用の機械学習に話題を広げてお話する。

「確率と尤度の違いとは?」
眞鍋 翔 (関西医科大学 法医学)

DNA型判定結果の解釈には、尤度比が用いられる。尤度比は字面だけみれば「尤度」の比であるが、計算式をみれば「確率」の比となっている。この確率と尤度の本質的な違いは非常に分かりにくく、演者も理解するのに長い年月を要した。今回は、演者なりの理解を提供することで、確率と尤度の違いのイメージをつかんで頂くことを目的とする。

2)実務面からのアプローチ

「グラフィカルモデルによるY染色体STRの頻度推定法」
花村 天斗 (京大法医学)

法医学領域におけるY染色体STRは男系の血縁関係などに有力な情報を与える。しかし、確率的な解釈は困難であることが多い。今回、Y染色体STRの組み合わせであるYハプロタイプの新たな頻度推定法が考案されたので、紹介したい。

2. 次回の予定について
 

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2020

 

法数学勉強会 11月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)数学面からのアプローチ

「デジタル法科学捜査における数学の役割」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

DNA鑑定ではSTRマーカーのジェノタイプを記録してデータベース化している。データベース化されれば、それは電子記録である。また、シークエンシングに基づく遺伝情報のDNA鑑定利用も進みつつあり、その膨大な電子情報量の正確な管理は重要な課題である。いずれの場合も個人識別情報であることから、データの保管にあたっては暗号化されることも多くなっている。

一方、電子ファイル改竄・ネットワーク経由犯罪などの登場により、Digital Forensicという分野が出現している。DNA情報管理とDigital Forensic分野の情報技術とその背景数学には共通点が存在することから、DNA情報データベースの管理・保全を切り口として、同領域の情報学・数学について俯瞰を試みる。

ⅱ)実務面からのアプローチ

「集団遺伝学に基づいたY-STRによる血縁鑑定に関する検討」(花村 天斗)

Y染色体STRは、遺伝的組換えを起こさないことから父子鑑定に利用されるが、数学的評価は難しいという側面を併せ持つ。今回我々は、シミュレーションを用いて近縁者間のYハプロタイプの差異を確認し、それが血縁鑑定に及ぼす影響について検討した。ハプロタイプ頻度推定のあり方を再考してみようと感じさせる結果を紹介する。

「低い尤度比の値はどれほど信用できるのか?」(関西医科大学法医学講座 眞鍋 翔)

DNA鑑定において、尤度比(LR)が1を上回っているものの比較的小さい値(例えば、LR = 100)が得られたとする。この値は尤度比の分子側の仮説を支持しているものの、「低い尤度比は信用できるのか?」という疑問が残るため、その仮説が真であると判断するには心もとないと感じる方が多いであろう。今回はこの疑問に答えるため、尤度比そのものの性質、および尤度比を計算する方法・モデルに問題がないことを確認する手法について考察したい。

2. 次回の予定について

3. 懇親会
 

法数学勉強会 1月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)数学面からのアプローチ

「体細胞キメラのいろいろと、次世代シークエンシング法におけるキメラ検出・キメラ割合の計算の統計学的基礎」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

体細胞キメラは様々な理由で発生します。発生途上の体細胞変異もその一つであり、また、受精直後の四配偶子キメラも生理的なものとして知られています。また、骨髄・幹細胞移植などの医療技術の進歩に伴うキメラ化も存在し、四配偶子キメラが生殖医療技術の進展で増加しているのか否かなど、医療技術との関係もキメラ鑑定においてカバーされるべき視点となっています。そのような体細胞キメラを概観しつつ、キメラ検出への次世代シークエンサー技術の応用例を題材に、キメラ検出・割合推定のための統計学的視点について話題提供します。

ⅱ)実務面からのアプローチ

「Forensic epigenetics/epigenomics ―法遺伝学分野の今後の展望―」(藤本 駿太朗)

ヒトゲノム解析が完了した2003年以降の所謂ポストゲノム時代に、世間ではepigeneticsへの関心がますます高まった。法遺伝学分野でも、DNAのメチル化やnon-coding RNAを利用した鑑定手法の研究・開発が進められつつある。今回はこれまでの法遺伝学分野におけるepigenetics 研究を踏まえながら、法遺伝学分野の今後について議論したい。

「Forensic Genealogyの現状と課題」(眞鍋 翔)

近年、米国を中心にForensic Genealogyと呼ばれる、データベースに登録された膨大なゲノム情報から作成した家系図を基に個人同定を行う技術が注目されている。今回は、このForensic Genealogyの現状と課題について、方法論も交えつつ実務的な側面から概説する。

2. 次回の予定について

3. 懇親会
 

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2019

 

法数学勉強会 10月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)数学面からのアプローチ

「遺伝情報による顔貌認識:サポートベクターマシン・階層型クラスタリング・正準相関解析」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

DNA情報から顔貌を正確に決定したり識別したりすることは、まだ難しい問題ではありますが、ある程度の分類はできそうだとみなされている。紹介する論文では、形に差異がある顔全体の位置合わせを行ったうえで領域を階層的に細かく分割し、個々の細領域の様相に影響を与えるDNA領域を同定することを試みている。同アプローチを概観し、使用されているいくつかの手法(サポートベクターマシン・階層型クラスタリング・正準相関解析)について概説する。

ⅱ)実務面からのアプローチ

「法科学鑑定に人工知能は使えるのか?」
(藤本 駿太朗)

世間では第3次人工知能ブームが到来し、コンピュータがプロ棋士に勝利するというニュースや、自動車の自動運転が国策として進められるなど注目を集めている。法科学分野においても、物体検査などの数的評価において人工知能を用いた評価方法がいくつか報告されてきた。今回は人工知能ブームの火付け役となったDeep learningと法科学鑑定の親和性とその有効性を議論したい。

「技術とともに変遷していくSTRの定義-第28回ISFGへの参加を通して-」(平井 瑛里子)

先月プラハにて開催された第28回国際法遺伝学会(ISFG)において、STRのアリルの命名法(nomenclature)についてのワークショップに参加した。そこでは、Massively Parallel Sequencingにより塩基配列の情報も考慮されるようになったことで問題となった、新たなアリルの定義づけについて議論がされていた。今回は、議題に上がった見解を取り上げ、nomenclatureの現状と課題について紹介したい。

2. 次回の予定について
 

法数学勉強会 6月特別会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)実務面からのアプローチ

「DNA鑑定で用いる統計学指標について -異同識別編-」(平井 瑛里子)

2019年4月よりわが国の法医鑑識領域では、これまで用いられてきたIdentifiler検査に代わり、新しい試薬を用いたGlobalFiler検査の導入を開始した。GlobalFiler検査では新たなローカスが追加され、計21ローカスのSTRが検査されるので、これまでのIdentifiler検査に比べて個人識別や混合試料解析における識別能が向上すると期待される。今回は、異同識別検査で用いられる統計学指標のうち、RMPや、混合試料解析で用いられるCPI(別名:RMNE)、尤度比についてわかりやすく解説する。

「DNA鑑定で用いる統計学指標について -血縁鑑定編-」(藤本 駿太朗)

血縁鑑定ではしばしば検査するDNA領域の関係性、特に連鎖や連鎖不平衡が問題となる。GlobalFiler検査で新たに追加されるDNA領域には連鎖して継承されるものがあり、血縁鑑定の確率的評価に影響することが考えられる。今回は基本的な血縁鑑定の尤度比計算をおさらいしながら、連鎖や連鎖不平衡の影響について考察する。

「混合試料解析の今後 コンティニュアスモデルとソフトウェアKongohによる分析」
(真鍋 翔)

現場資料のDNA鑑定では、複数人由来のDNAが混合した試料(混合試料)がしばしば問題となる。混合試料の分析では何人のDNAが含まれているか、事件の被疑者等のDNAが含まれているか等を確率的に評価する必要がある。わが国でも本年4月より高感度なGlobalFiler 検査キットが実務導入され、より極微量のDNAの混入まで検出できるようになった。しかし、このような混合試料の解析では、アリルドロップアウトの想定やアーチファクトの鑑別が必須となり、continuous modelを考慮した解析が必要不可欠である。今回は、continuous modelの原理とソフトウェアKongohを紹介し、混合試料解析の今後について考察したい。

2. 次回の予定について
 

法数学勉強会 4月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)実務面からのアプローチ

「Y-STR型が一致した場合の評価に関する新たなアプローチの紹介」(真鍋 翔)

これまでの勉強会では、Y-STR型頻度推定法としてカッパー法や離散ラプラス法を紹介してきたが、実際のヒト集団における厳密な頻度推定は困難である。また、推定頻度は方法毎に異なる結果となるため、その解釈が非常に煩雑である。そこで今回は、同じY-STR型をもつ人が何人いるかをシミュレーションにより推定する新たなアプローチを紹介し、Y-STR型が一致した場合の適切な評価、及び多くの人が納得できるような説明の仕方について考察する。

「DNA鑑定の“Admissibility hearings”―アメリカ法科学学会に参加して―」(藤本 駿太朗)

今年2月のアメリカ法科学学会(AAFS)でDNA鑑定の“Admissibility hearings”(証言の許容性)のworkshopに参加した。検察側、弁護側、法科学者それぞれの立場でDNA鑑定を例に、法廷での証拠の信頼性についての議論が行われた。今回は法数学の話題提供から少し離れるが、AAFSで提供された三者の意見を基に、アメリカ司法に関する印象や日本の法廷との違いなどについて、皆様と活発な議論を交わしたい。

ⅱ)数学面からのアプローチ

「混合試料の構成人数 Nuisance パラメタ」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

混合試料の数学的解釈において被疑者のDNAが含まれているかどうかの尤度比を算出する場合、関与人数を設定しないと計算できない。この Nuisance パラメタという、直接的な興味の対象となっていないパラメタの値を推定するのか、推定するとして、どう使うのか、その統計学的な立場からの意味づけはどうなるかについて解説する。

2. 次回の予定について
 

法数学勉強会 1月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)数学面からのアプローチ

「距離行列 類似度行列 固有値分解 グラフ」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

前回の勉強会ではゴールデンステート・キラーを題材に、DNA多型情報から2人の間の血縁関係を推定し、結果として多人数の関係を推定する話をした。個々のアイテムについて情報をとり、アイテムペアについて比較することから、全体を推定することは、良くある作戦であるが、今回の話は、その「ペアワイズ比較」に関する、数理統計的なアプローチの基礎的事項を概説する。

「ベイズ統計モデルを利用した仮説評価法」
(名古屋市立大学法医学分野 福田 真未子 助教)

ポピュレーションデータがハーディ・ワインベルグ平衡(HWE)から乖離していないかを判定するには、一般に統計的検定が利用されている。しかし「HWEが成立している」という帰無仮説が棄却されないことをもって帰無仮説を採択してしまっており、検定結果の正しい評価とはいえない。そこで、HWEを判断する別の方法としてベイズ統計モデルを利用した仮説評価法について紹介する。また「HWEから乖離したモデル」について検討したい。

ⅱ)実務面からのアプローチ

「米国の鑑定ラボにおけるDNA鑑定結果の解釈法について2」(森本 千恵)

米国ノーステキサス大学個人識別センターでは、身元確認や刑事事件に関するDNA鑑定実務や、次世代シークエンスをはじめとした最先端の研究も行われている。前回の法数学勉強会では、DNA型検査による身元確認について紹介した。今回は、混合試料を含む刑事事件の鑑定におけるDNA型検査結果の解釈法について紹介し、米国のDNA鑑定の現状を報告する。

2. 次回の予定について

3. 懇親会

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2018

 

法数学勉強会 10月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)数学面からのアプローチ

「Golden State Killer Case ~GEDmatch~」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

ゲノム情報が社会でシェアされるようになった結果、過去の重大犯罪者の特定がなされるようになった。タイトルにある米国の事件解決を題材に、その背景にあるゲノム解析技術を話したい。

ⅱ)実務面からのアプローチ

「米国の鑑定ラボにおけるDNA鑑定結果の解釈法について」(森本 千恵)

米国ノーステキサス大学個人識別センターでは、身元確認や刑事事件に関するDNA鑑定実務が行われている。また、次世代シークエンスをはじめとした最先端の研究成果も数多く報告されている。演者は今年9月に同センターに約1か月間滞在し、実務及び研究に関する情報を得た。今回は、同センターで行われているDNA鑑定結果の解釈法に焦点を当て、ピークの判定から尤度比の計算まで一連の流れを紹介する。

「第29回ISHI(個人識別国際シンポジウム)の報告」

最新の法遺伝学トピックについて(平井 瑛里子)

ISHIに参加してワークショップや企業展示、口演・ポスター発表から、様々な知見を得た。今回は、学会を通して感じた世界の法遺伝学の動向や最新の法遺伝学トピックについて紹介したい。

新技術の実用化に向けたvalidationの重要性(真鍋 翔)

新しい分析技術やソフトウェアを鑑定機関に導入する際、実務運用に適合しているかを検証(validation)しなければならない。今回はISHIでのワークショップの内容を基に、probabilistic genotypingのソフトウェアを例に挙げながら、目的に合ったvalidationの重要性について概説する。

2. 次回の予定について
 

法数学勉強会 7月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)数学面からのアプローチ

「アレル数不明な場合に対応する~ディリクレ過程~」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

母集団のアレル頻度を標本から推定するときに、アレルの種類数がわかっていればディリクレ分布を用いることができることをここしばらくやってきたが、実際には種類数は不明。そんなときに、対処する方法にディリクレ過程がある。ディリクレ過程はアレル数が不明なままにその「確率分布」を確率的に生成する過程のことであるが、それだけ聞いてもなんのことかわからないと思うので、そのあたりを理解するためにディリクレ過程の基礎を概説する。

ⅱ)実務面からのアプローチ

「『科学鑑定のエスノグラフィ』 – 文系学者がNZで見た法科学の標準化 – 」
(京都科捜研・京大法医学 濱野 悠也)

サイエンスコミュニケーションの専門家である鈴木舞氏(東大地震研)の著書『科学鑑定のエスノグラフィ』について内容を紹介する。同著書には「標準化」という視点をもとに、法科学の現状と問題点が指摘されており、法科学鑑定の将来について考察したい。

「Absence of DNA – 被疑者DNA profileが得られないときの数学的解釈 – 」(藤本 駿太朗)

DNA検査の結果が法廷で利用されない理由として、そもそも検査する現場資料がない場合や、検査しても被疑者のprofileが得られなかった場合などがある。後者の被疑者のprofileが得られなかった場合では、時にDNA検査の結果の評価が要求されることがある。今回はDrummond caseを例に被疑者のprofileが得られなかった場合のDNA証拠資料の解釈について取り上げたい。

2. 次回の予定について
 

法数学勉強会 4月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)数学面からのアプローチ

「アレル数が未知のときの事前分布を考える」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

「ディリクレ分布とディリクレ過程」の3回目で、今回はアレル数が未知のときにフラットな事前分布をどのように想定するかを考えたい。これを踏まえてディリクレ過程や、アレル数未知のときのための確率過程に話を進める予定である。

ⅱ)実務面からのアプローチ

「多様化するアリル頻度推定法の現状と課題」(真鍋 翔)

アリル頻度の値は一般に、population dataの観測数に基づいて決定され、稀なアリルに対しては補正式が用いられる。しかし、諸外国の計算プログラムの中には一般的な取扱いがなされていないものもあり、アリル頻度の推定方法は完全に統一されているとはいえない。今回は、法数学の基本ともいえるアリル頻度の推定方法が多様化している現状を紹介し、今後アリル頻度をどのように取り扱っていくかについて議論を深めたいと考えている。

「Rapidly mutating Y-STRの特徴と評価法について」(森本 千恵)

Rapidly mutating Y-STR (RM Y-STR) は一般的なY-STRに比べて突然変異率が高値であるため、個人識別力は高い。ただし、その反面、父子間や兄弟間でもアリルの不一致が起こりやすい。今後の導入が予想されるYfiler PlusにはRM Y-STRが6マーカー含まれており、血縁鑑定における検査結果の解釈が問題となってくる。今回は、RM Y-STRについて紹介し、突然変異が想定される場合の評価方法について考察する。

2. 次回の予定について
 

法数学勉強会 1月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)数学面からのアプローチ

「未検出アレルの頻度推定と観察ジェノタイプの珍しさ」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

ディリクレという単語を使った話が、これまでにも何回か勉強会に登場しているが、全体におぼろげで未消化感がある用語である。ディリクレ分布は、多項分布とペアな関係にあるという部分の復習をした上で、リピート数多型のN人分のデータが得られたときに、母集団のアレル頻度はどのように推定するかについて、計算のデモをしながら解説する。

ⅱ)実務面からのアプローチ

「STRに匹敵するにはSNPはいくつ必要か?」(京都科捜研・京大法医学 濱野 悠也)

SNPはSTRに比べ突然変異率が低い利点をもち、技術革新に伴い多数のSNPタイピングも容易となってきているため、法医学用途での応用が期待されている。今回はSTRに匹敵するにはSNP数がいくつ必要になるかを、識別力(PD)、平均排除率(MEC)、尤度比(LR)などを指標としてシミュレーションで評価した論文を紹介する。

「Y-STR、mtDNAのデータベース検索ツールの紹介」(真鍋 翔)

ISFG2017では、Y-STR及びmtDNAに関するワークショップが開催され、それぞれのデータベース検索ツール(YHRD、EMPOP)が紹介された。今回は基本的な内容を踏まえつつ、新たな内容として、Y-STRについてはYHRDでの混合試料と血縁鑑定の尤度比計算、mtDNAについてはEMPOPの検索の仕組みについて概説する。

2. 次回の予定について

3. 懇親会

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2017

 

法数学勉強会 10月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)数学面からのアプローチ

「ディリクレ分布とディリクレ過程~離散観測データの基礎~」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

ディリクレという単語を使った話が、これまでにも何回か勉強会に登場しているが、全体におぼろげで未消化感がある用語である。ディリクレ分布はベータ分布を多変量に拡張して一般化した確率分布であるが、かなり奥が深いので、ディリクレ分布に焦点を絞って解説したい。

ⅱ)実務面からのアプローチ

「”Beyond DNA Profiling”検査結果の証拠価値の向上を目指して」(藤本 駿太朗)

DNAを用いた個人識別の結果を法廷で扱う場合には、その試料が何なのか、どのような経緯で試料が遺されたのかなどを考慮して証拠を提示する動きが高まっている。今回、ISFG2017で紹介された体液証明法の国際的な潮流、試料に基づいた犯行状況の推定などを1998年に報告された ‘hierarchy of proposition’ を基にして紹介する。

「微量混合試料分析用ソフトウェア ”EuroForMix” について」(森本 千恵)

EuroForMixは、continuous modelに基づき微量混合試料の数学的解釈を行うソフトウェアである。オープンソースでありGUI化されていることから、誰でも使用できるというメリットがある。今回は、実際にソフトウェアを動かすデモンストレーションを交えながら、その特徴や計算原理について概説する。

2. 次回の予定について

法数学勉強会 6月特別会(終了)

日 時:平成29年6月7日(水) 16:30~19:00
場 所:長良川国際会議場(第101次日本法医学会学術全国集会会場)
プログラム:

ⅰ)数学面からのアプローチ

「DNA鑑定を理解するために必要な数学の学び方」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

統計遺伝学分野の専門家として、法数学勉強会ではこれまでに次のような話題を提供してきた。親子鑑定のように2つの仮説を尤度比で比較すること、大規模災害時の鑑定のように複数の問いに一括して答えること、混合試料の構成人数問題やY染色体のハプロタイプ数問題のように解となる値が不定である場合の推定や機械学習、相容れない証拠の突合せとそれにまつわる決断問題、曖昧さの理解のための区間推定と分布推定・ネットワーク理論の活用などである。本特別会では、これらのトピックを振り返りながら、これらの基礎となる数学事項の勉強の始め方について話題提供するとともに、ディスカッションしたい。

ⅱ)実務面からのアプローチ

「法数学の理論と実際 -これまでの勉強会を踏まえて-」(真鍋 翔・森本 千恵)

法数学勉強会では、実務面からのアプローチとして微量混合試料の解釈や血縁鑑定などで必要となる計算理論について紹介してきた。本特別会では、主に法数学に馴染みのない方に対して、これまでの勉強会の内容をかみ砕いて、法数学の理論と実際について概説する。

「法遺伝学のwhat to do next」(濱野 悠也・藤本 駿太朗)

今後の法遺伝学のトレンドのうち、次世代シーケンシング(MPS: Massively Parallel Sequencing)、DNAによる表現型決定(FDP: Forensic DNA Phenotyping)、体液識別(BFID: Body Fluid IDentification) の3分野について、過去の勉強会の内容のレビューを含めて紹介する。

 

法数学勉強会 4月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)数学面からのアプローチ

「法数学のための機械学習の基礎」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

機械学習という手法が混合試料における関与人数推定プログラムなどの法数学にも応用されようとしている。この例を引きつつ、機械学習とはどんなことをするものかについて初歩的な解説を行う。

ⅱ)実務面からのアプローチ

「アメリカにおけるDNA鑑定の現状と最新のトピック」(藤本 駿太朗)

今年2月にニューオリンズで開催された第69回アメリカ法科学会(AAFS) に演者は参加してきた。本学会は国内外問わず、非常に多彩な分野の専門家が参加し、活発な議論が行われていた。今回はアメリカにおけるDNA鑑定の数学的解釈の現状を踏まえ、体液識別や次世代シークエンサーの技術、DNA phenotyping といった最新のトピックについて報告する。

「次世代シークエンサーを利用したSTR型検査の判定方法について」(森本 千恵)

近年、法遺伝学分野において次世代シークエンサー(MPS)を用いた研究が数多く報告されている。MPSを利用することでリピートの内部配列の情報が得られるため、識別力の向上が期待される。一方、スタターやノイズなどをどう除くかといった判定基準は統一されていない。今回は判定方法の一例として、オランダのグループが開発したFDSToolsというMPSデータ解析用ソフトウェアを紹介する。

2. 次回の予定について

 

法数学勉強会 1月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)数学面からのアプローチ

「試料を再実験に備えるべきか、1回で使い切るべきか」(追加資料)
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

試料の量が少ないと予想されているときに、全量を1実験に回すことがよいか、再検に備えて、残すのがよいか、という判断をどうしたらよいかに関して、実験の成功率を試料量の関数とみなして検討する。

ⅱ)実務面からのアプローチ

「マハラノビス距離を用いた体液の判別分析」(藤本 駿太朗)

判別分析の手法は我々の身近なところで様々に応用されており、法遺伝学分野では人種推定や体液識別に用いられることが期待されている。今回はmicroRNAを用いた体液識別を例に判別分析の方法の1つであるマハラノビス距離について紹介する。

「混合資料からの親子鑑定 ~イタリアのある事例~」(京都科捜研・京大法医学 濱野 悠也)

「本当の父親は、数年前に死んだ資産家なんだ!だから自分は彼の遺産を相続する権利がある。」そんな訴えにより、ある資産家の遺体が掘り起こされ、DNAを鑑定したところ混合資料であった。混合資料解析プログラムの”DNAmixtures”を用いて行われた、イタリアの親子鑑定の一例を紹介する。

2. 次回の予定について

3. 懇親会

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2016

法数学勉強会 10月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)数学面からのアプローチ

「区間推定_尤度比 その2 ~親子鑑定~」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

先回の勉強会では区間推定の一般論、ディプロタイプ頻度の区間推定について述べたが、今回は血縁鑑定における尤度比の区間推定について解説する。たとえば、父親候補が2人いるときの尤度比の計算はどうするのか、母の型は不明だが母の両親の型が判明している場合の尤度比の分布はどうなるのかなどについて考察してみたい。

ⅱ)実務面からのアプローチ

「最近の法数学トピックについて」(森本 千恵・真鍋 翔)

最近の法数学の関連分野はより専門傾向が強まったため、個々の論文を理解するのに多くの労力が必要となってきており、関連分野全体の傾向を把握するのが難しくなってきている。今回、個人識別国際シンポジウム(ISHI 27)においてワークショップや発表を通して多くの情報を得たので、混合試料解析や血縁鑑定を中心に世界の法数学関連の最新の研究事情と今後の動向について概説したい。

2. 次回の予定について

 

法数学勉強会 6月特別会(終了)

日 時:平成28年6月15日(水) 16:00~18:30
場 所:きゅりあん〈品川区立総合区民会館〉 (第100次日本法医学会学術全国集会会場)
プログラム:

ⅰ)数学面からのアプローチ

「区間推定の基礎と尤度比への応用」(追加資料)
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

区間推定とは何か、その基礎を確認したのち、尤度・尤度比に区間推定を応用する例を取り上げる。

ⅱ)実務面からのアプローチ

「微量混合試料の確率的評価モデルの概説」(森本 千恵・真鍋 翔)

微量混合試料の確率的評価において、従来の binary model や semi-continuous model ではピーク高を利用しない点やスタターの扱い等に問題があった。一方で、近年注目を集めている continuous model はより厳密な確率的評価が行えると期待されているが、複雑な統計学的手法を利用する。今までの勉強のまとめとなる3つのモデルの基本的な概念をわかりやすく解説し、改めてcontinuous model の有用性について考察したい。

 

法数学勉強会 4月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)数学面からのアプローチ

「指紋照合とDNA型照合」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

DNA鑑定は、非常に高い個人識別力を有するので、よく指紋になぞらえられる。しかし、潜在的に非常に高情報量となるデータである指紋とDNA型には大きな相違点もある。今回は、DNA型と指紋を個人識別に用いるという観点で比較した場合、何が共通で何が異なるのかについて考察してみたい。

ⅱ)実務面からのアプローチ

「混合試料解釈における判断を助ける数学的指標の有効性」(森本 千恵)

混合試料解釈には、mRMP、RMNE (CPI)、LRといった数学的指標が利用される。最近出版されたJ. Butlerの著書 ”Forensic DNA Typing : Interpretation” に基づいてこれらの指標を概説し、その扱い方について考察する。

「ロジスティック回帰モデルによる確率的な判定について」(藤本 駿太朗)

多くの科学分野では特定の事象が起こるか否かを確率的に評価することが求められている。例えばある疾患に関連する複数の背景因子を基に患者がその病気に罹っているか否かを確率的に判定したい。このような目的に対して用いられるモデルの1つにロジスティック回帰モデルが挙げられる。今回はロジスティック回帰モデルの基本的な考え方について紹介し、また、その応用である多項ロジスティック回帰モデルをRNAを用いた体液判定を例に概説する。

2. 次回の予定について

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2015

法数学勉強会 12月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)数学面からのアプローチ

「1人か2人か ~帰無仮説・対立仮説~」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

混合試料の関与人数を例にして、事前確率や帰無仮説、尤度のことについて一緒に考えましょう。

ⅱ)実務面からのアプローチ

「グラフで理解する統計学 - 共分散分析編 -」(京都科捜研・京大法医学 濱野 悠也)

ヒトのデータを用いて2つの因子の関係をみようとしたとき、年齢や性別、人種などの違いが、実験データに思わぬ影響を与えてしまうことがある。そのような場合には、より精度の高い共分散分析とよばれる手法を用いることが望ましい。初学者である演者が、共分散分析をグラフを用いて、その概要を説明して参加者の理解の手助けを行いたい。

「Subpopulationを考慮したgenotype頻度の補正」(藤本 駿太朗・森本 千恵)

STR型の数学的解釈を行う際には通常、Hardy-Weinberg平衡を前提としてgenotype頻度を算出する。しかし、実際のpopulationではいくつかのsubpopulationが形成されており、population全体がHardy-Weinberg平衡から乖離していることが想定される。このような場合にはgenotype頻度をθ-valueにより補正するが、今回はpopulation構造の変化と補正値θについて概説する。また、1996年のNRCⅡの勧告で示されたgenotype頻度の補正の計算式についてもその成り立ちを紹介する。

2. 次回の予定について

3. 懇親会

 

法数学勉強会 9月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)数学面からのアプローチ

「連鎖不平衡と連鎖不平衡ありのデータ作成」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

DNA鑑定に一塩基多型(SNP)を用いることがある。比較的少数のマイクロサテライトを用いる鑑定と、多数のSNPを用いる鑑定との違いを理解するためには、いくつかの遺伝学的な知識と情報学的な知識が必要である。情報量が多いジェノタイプ頻度分布やアレル頻度分布の考え方、SNPを組み合わせて用いるときに必要な連鎖不平衡・ハプロタイプ頻度分布などである。そのような知識の概説をした後、SNPを用いた鑑定手法のパフォーマンスを評価するためには、現実に存在するSNPデータセットとそれに類似したデータセットとが必要となるが、そのようなデータセットをシミュレーション生成することの重要性と難しさについて話題提供する。

ⅱ)実務面からのアプローチ ―第26回ISFG(国際法遺伝学会)から―

「法遺伝学のトレンドを探る」(藤本 駿太朗)

現場試料のDNA型だけでなく、何の組織由来のDNAでどうやって残されたのかが問題となる時代になりつつある。また、そのDNA提供者はどんな容貌であったかを推定しようとする研究も盛んになってきた。この最もホットな分野である体液判定、Touch DNA、Forensic DNA phenotyping(FDP)について概説する。

「微量混合試料分析用ソフトウェア“STRmix”の性能」(森本 千恵)

参加者一人一人が実際にSTRmixを動かすワークショップに参加し、模擬データを用いて分析するトレーニングを経験した。STRmixの分析の実際についてデモンストレーションを交えて解説する。

「ソフトウェア比較による混合試料分析の動向」(真鍋 翔)

ISFGでは、「DNA-VIEW」や「STRmix」に加え、ノルウェーのグループが開発したオープンソースソフトウェア「EuroForMix」も紹介され、continuous modelに関するトピックがかなり増えた。今回は各ソフトウェアの計算原理を考えながら、欧米諸国における微量混合試料分析の今後の動向を探る。

2. 次回の予定について

 

法数学勉強会 6月特別会(終了)

日 時:平成27年6月10日(水) 評議員会終了後 ~ 約2時間半程度
場 所:高知市文化プラザ かるぽーと (第99次日本法医学会学術全国集会会場)
プログラム:

ⅰ)数学面からのアプローチ

「RFUシグナル強度と正規・対数正規・ポアソン対数正規・二項分布~ノイズとシグナル、ホモとヘテロ~」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

STRのPCR増幅シグナル強度のバラツキを理解するために、基本的な確率分布を用いた単純なモデルを導入して統計学的な視点から考える。

ⅱ)実務面からのアプローチ

「X, Y染色体STR検査結果の確率的評価について」(森本 千恵)

2つの性染色体STRのハプロタイプやアリルの頻度、尤度比計算について概説する。

「全てのピーク情報を考慮した微量混合試料分析法(continuous model)における
尤度比の計算原理」
(真鍋 翔)

微量混合試料の分析について全てのピーク情報を考慮するcontinuous modelが提唱されソフトウェアも開発されている。今回は、本法における尤度比の計算原理について理解を深めたい。

 

法数学勉強会 4月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)数学面からのアプローチ

「ポアソン対数正規分布~蛍光シグナルのための分布~」(追加資料)
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

DNA鑑定に用いられるSTR-DNA型タイピングでは、ベースラインノイズを解釈する必要に迫られることがあるが、そのノイズは、光学系で言うところのショット雑音とみなせる。これは、正の値のみを取るが、そのようなときには、正規分布ではなく対数正規分布での解釈が必要である。また、少ない分子からの増幅を考えるときには、離散性を考慮する必要が生じる。この2点を併せて取り扱う分布がポアソン対数正規分布である。この分布の基礎的数学事項を概説する。

「血縁鑑定におけるX-STRの有効性の検討」(森本 千恵)

X染色体上に存在するSTRを血縁鑑定に利用する場合、マーカー間の連鎖や連鎖不平衡の影響を考慮して評価を行う必要がある。それらの影響を考慮した尤度比の計算方法について紹介し、有効性を考察する。

「離散ラプラス分布を利用したY-STRの確率的評価について」(真鍋 翔)

Yハプロタイプの出現確率は大変低く、標本集団の値をそのまま利用するのは難しいため、これまでに様々な統計学的モデルが提唱されている。本勉強会では以前、κ modelについて紹介したが、今回は離散ラプラス分布を利用した方法を題材にする。また、Y-STRの混合試料における関与人数の推定についても考察する予定である。

2. 次回の予定について

 

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2014

法数学勉強会 12月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)数学面からのアプローチ

「近親婚を含む家系におけるジェノタイプ推定法~ベイジアンネットワークを丁寧に追う~」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

血縁鑑定では家系図を元にある人が問題の血縁関係にある場合と非血縁である場合の尤度比を求めて判断するが、家系図にある未検査の人の型はどうなっているのかを推定できるかを問われた。近親婚を含むような複雑な家系図においても、ベイジアンネットワークを利用したアプローチで可能になることを解説する。

ⅱ)実務面からのアプローチ

「血縁鑑定における連鎖を考慮した尤度比の算出法」(森本 千恵)

血縁鑑定においては、非血縁集団において連鎖がないとされた近距離にある2つのローカスを独立とみなせない。そのため、分析ローカスが増えた場合、単純に尤度比を掛け合わすことはできない。そこで、連鎖したローカス間における尤度比算出法について文献を挙げて計算例を紹介する。

「欧米諸国における微量混合試料分析の現状と今後」(真鍋 翔)

アリゾナ州で開催された今年のISHIでは、微量混合試料分析用ソフトウェアについてのワークショップが開催された。その参加者として各ソフトウェアの特徴についてまとめ、欧米諸国が現在どのように分析を行っており、今後どのように微量混合試料分析に取り組もうとしているかを概説する。

2. 次回の予定について

3. 懇親会

 

法数学勉強会 9月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)数学面からのアプローチ

「種類数不明な場合の母集団のディリクレ分布推定~Y染色体ハプロタイプ頻度推定~」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 岡田 卓也)

Y染色体ハプロタイプのデータベースがあったときに、データベース登録されているタイプと、いまだ登録されるに至っていないハプロタイプとの両方の母集団頻度の推定をするために、母集団のタイプ総数の尤度自体を推定の対象とし、タイプ総数別のディリクレ分布の重みとして考慮する方法の数学的側面を概説する。

ⅱ)実務面からのアプローチ

「微量混合試料分析用ソフトウェアLRmix Studioの紹介とその評価」(森本 千恵)

米国やニュージーランドではContinuous modelが提唱されているが、ヨーロッパの国々では必ずしも肯定的ではない。今回は、Drop modelを基にHanedが開発したLRmixの新バージョンについてデモンストレーションを交えながら紹介する。

「次世代シーケンサーの時代へ -原理の概説と実務応用への考察-」
(京都府警察本部科学捜査研究所 濱野 悠也)

多くの製品が発売されている次世代シーケンサーの原理を概説し、現在の実務の主要機器であるLife Technologiesの3130、3500シリーズとの違いを明確にする。また、法医実務への応用を考えた場合のメリット・デメリットを、学術論文をもとに紹介する。

2. 次回の予定について

 

法数学勉強会 6月会(終了)

1. 話題提供とフリーディスカッション

Prof. Dr. Peter M. Schneider (University of Cologne, Cologne, Germany)

「混合したSTR型判定結果の解釈 ― 現状と今後 ―」

Prof. Schneiderは現在ケルン大学の法医学研究所教授ですが、国際法遺伝学会(ISFG)をずっと牽引している重鎮の一人として、ドイツ国内だけでなく世界をまわって活躍されています。以前の勉強会で紹介しましたが、ドイツの微量混合試料の分析状況は、わが国と似ている段階でもあり、勧告に従って彼が中心となって進めているドイツ流の方法もわが国の今後に極めて参考になると思われます。今回は、ドイツのDNA鑑定の現状だけでなく、ISFGの勧告内容の解説を含めてお話してもらい、混合試料分析の今後を考えたいと思います。

Dr. Michael D. Coble (National Institute of Standards and Technology, Gaithersburg, USA)

「NISTが行ったDNA検査機関の混合試料解析の調査について ― 調査結果と展望 ―」

NISTは現在では米国のDNA鑑定に関して、各検査機関に対する指導的役割を担っているところですが、Dr. CobleはDr. J. Butlerらとともに、各検査機関に混合試料や微量試料の分析に関するレクチャーやトレーニングを行っており、最近、米国がこの分野に関して急激に発展してきたのも、彼らのおかげであると思われます。昨年、NISTは混合試料の解釈に関する米国での現状を把握するため、同じ混合試料の解釈に関する各機関間での一致度などの再調査を行い、大変興味深い結果を得ています。今回は、混合試料分析の基礎的な話から、米国の最新事情まで幅広く話をしていただきます。

2. 次回の予定について

 

法数学勉強会 4月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)数学面からのアプローチ

「証拠を突き合わせること~あいいれない証拠~」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

容疑者が犯人である、という仮説を信じるにあたって、DNA型などの情報を吟味するが、どの情報も「犯人である」ことを支持しているときには、確率や尤度の厳密な値はあまり気にならない。しかし、一つでも相いれない情報が出てくると、「どうやって仮説を信じたらよいのか」と「不安感」が湧いてくる。そのあたりの仕組みについて、ベイズ流の考え方で説明してみたい。

ⅱ)実務面からのアプローチ

「混合試料分析にも有用? DIP-STR領域の紹介と解説」(川合 千裕)

欠失・挿入多型(DIP)を近傍に持つSTR領域を利用した混合試料分析への新たなアプローチを紹介し、その数学的評価について解説する。

「Yハプロタイプの希少性の確率的評価について」(真鍋 翔)

Yハプロタイプの出現確率は大変低いため、常染色体STRのように標本集団の値からは算出しにくい。今回は、様々なモデルの中から、Brennerが提唱したκ modelを題材にし、確率と頻度の違いも踏まえつつ考察する。

2. 次回の予定について

 

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2013

法数学勉強会 12月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)数学面からのアプローチ

「パーマネント法を用いた多人数一括DNA鑑定」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 奈良原 舞子)

大規模災害などで多数の死亡者の身元鑑定において、個々の血縁鑑定の尤度比を単に比較するのではなく、全体を見て決めようとする画期的なプログラムについて解説してもらう。

「ベイズ統計学の基礎」(真鍋 翔)

Continuous modelで利用されるMCMC法はベイズ統計学を応用している。今回は本法の理解を深めるため、ベイズ統計学の理論的枠組みを概説する。

「法数学におけるベイジアンネットワーク(2)、データベースサーチ」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

これまでお話いただいたベイジアンネットワークの復習とデータベース検索をベイジアンネットワークで解釈するとどうなるのかなどについてお話していただく。

2. 次回の予定について

3. 懇親会

 

法数学勉強会 9月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)数学面からのアプローチ

「法廷のためのベイジアン・ネットワーク」(追加資料)
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

単なる2つの仮説の尤度比ではなく、多数の因子を考慮して最終的に確率で表すベイジアン・ネットワークについて、自作のプログラムを披露していただき、法廷でも使える解説をしていただく。

ⅱ)実務面からのアプローチ

「アリルドロップアウトのある混合資料の解釈 ~最近の欧米事情~」(玉木敬二)

米国が変わった、オーストラリア、ニュージーランドが最も進んでいる、ヨーロッパは国毎の温度差や建前と本音が交錯する…。各国の現状をもとにわが国の微量混合資料分析の将来を考える。

「アリルピークを用いた関与者の推定方法について」(川合千裕)

欧米ではアリルピーク高によって関与者の型を推定する方法が用いられるが、その根底となるピーク高の分布は正規分布ではない?

「“Semi-continuous” から “Continuous” の時代へ ~全てのピーク情報を考慮に入れた微量混合試料分析法~」(真鍋 翔)

ピーク高の閾値を扱うアリル判定法は、絶えず”絶壁の矛盾“を抱える。このため、欧米は閾値を用いないContinuous methodに一気に流れ始めた。今回は、いくつかあるソフトのうち、最も注目されているSTRmixについて、原理や計算方法を紹介する。

2. 次回の予定について

 

法数学勉強会 6月特別会(終了)

日 時:平成25年6月26日(水) 評議員会終了後 ~ 約2時間半程度
場 所:ロイトン札幌 (第97次日本法医学会学術全国集会会場)
プログラム:

ⅰ)数学面からのアプローチ

「決断支援のためのDNA鑑定情報」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

事前確率や事後確率はどうあるべきかを決定理論から見つめ直す

「DNA鑑定の新解釈 ベイジアン・ネットワークの解説」(川合千裕)

多くの情報を条件付き確率で細分化して結びつけて真の確率に迫る

ⅱ)実務面からのアプローチ

「混合微量試料分析ソフトウェアの使い方と評価」(真鍋 翔)

「2つのソフトウェアにデータを入れて,わが国の実務利用について検討した
混合試料分析の現状」(玉木敬二)

海外の現状などと比較し、わが国の混合試料分析の今後を考える

 

法数学勉強会 4月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)数学面からのアプローチ

「ベイジアン・ネットワーク理論の概説2」(川合千裕)

昨年、概説したベイジアン・ネットワークの話の続編だが、初めて聞く人にもわかるよう配慮。ヨーロッパのDNA鑑定で用いようとしているが、使える方法なのか。

「林檎殺人事件~確かな情報と不確かな情報の違いは“傾き”の違い~」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

おなじみの山田先生の人に優しい解説。今回のタイトルは1978年なのでわかる人はかなりの…。

ⅱ)実務面からのアプローチ

「ソフトウェアを利用した微量混合試料分析の有用性の検討」(真鍋 翔)

LRmix, likeLTDといったソフトウェアを用いたDNA検査結果の解釈の実際について、アイデンティファイラー検査を実例にして、より詳細に紹介する。今後のわが国の混合微量試料分析の行方を考える。

2. 次回の予定について

 

法数学勉強会 1月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)数学面からのアプローチ

「事前確率の設定と精度に関する考察」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

島の子ザル事件の解決編、肯定確率の前提となる事前確率の問題をわかりやすく解説していただく。

ⅱ)実務面からのアプローチ

「コンセンサス法とコンポジット法の解釈の比較」(川合千裕)

コンポジット法は得られる尤度比からみて意外に悪くないという報告があったが、この実験的考察ではどんな結果となっているか。

「LikeLTDを利用した微量混合分析結果の解釈」(真鍋 翔)

LRmixではpeak heightを利用していないが、LikeLTDではどうか。単なるソフトウェアの解説ではなく、背景にある解釈の基本的方針も紹介。

「微量混合資料分析における尤度比の検証」(畑野翔太郎)

微量資料分析を敬遠している米国で珍しく真っ向から取り組んでいる報告。謎のソフトウェアFST。

2. 次回の予定について

 

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2012

法数学勉強会 9月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)実務面からのアプローチ

「法医鑑識におけるX染色体分析法の概説」(川合千裕)

X染色体分析の有効性と確率計算への応用などをおさらいする。

「ISFGのDNA微量試料分析の新指針」(畑野翔太郎)

先月にオンライン発表されたISFGのガイドラインを、わかりやすく解説。ドロップアウト、ドロップインをどう扱うか。

ⅱ)数学面からのアプローチ

「父母の由来を分けた突然変異率の推定と尤度比に与える影響」(真鍋 翔)

既報のSTRの突然変異率はそのままシミュレーションに用いるには問題があるのではないか、という疑問を持ち、独自の解釈でより正確な突然変異率を求める試みを紹介。

「事前確率をどう考えるか~島の子ザル次元~」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

これまでの山田先生のお話から、肯定確率の値って何だと改めて疑問を感じる人も増えてきたと思われるが、今回は、前回予告のあった事前確率に関する話、「島の子ザル事件」(?)かもしれない。

2. 次回の予定について

 

法数学勉強会 6月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)実務面からのアプローチ

「Stochastic effectの起きないピークの閾値設定について」(川合千裕)

安心してエレクトロフェログラムを読めるピークの閾値はいくつか、その求め方を含め文献より解説。

「ヨーロッパにおける混合試料解析の実状と今後について」(玉木敬二)

近々発表されるISFGのガイドライン情報など、4月に開催されたシンポジウムの内容をもとに、今後の混合試料分析の動向を探る。

ⅱ)数学面からのアプローチ

「ベイジアン・ネットワーク理論の概説 ~DNA鑑定にどう応用するのか~」(真鍋 翔)

主に英国の数学者が進めるDNA鑑定の新しい解釈方法。ヨーロッパでは注目されているが、はたして実務応用され得るものなのか。

「DNA鑑定の統計遺伝学分野的研究アプローチを整理する」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

これまで、DNA鑑定結果の解釈についてわれわれ法医学が考える尤度比とは異なる切り口で、数回にわたりお話をしていただいたが、今回はこれまでのお話を含め、DNA鑑定を統計遺伝学的に見つめ直していただく。

2. 次回の予定について

 

法数学勉強会 3月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)実務面からのアプローチ

「解明 ロマノフ王朝の謎」(川合千裕)

ロシア革命で滅亡したロマノフ王家の遺骨の身元が最終的に確認されたが、その分析過程をさぐる。数学よりも背景にある歴史の解説の方が面白い?

「混合試料解析プログラム(mixsep)の紹介とその有用性の検討」(真鍋 翔)

R上で作成されたアリルピーク高を考慮する定量的分析による混合試料解析プログラムをデモ、実例をまじえて解説。果たして間違いなく犯人の型を捉えられるのか。

「微量試料分析における閾値の決定方法について」(川合千裕)

単に150RFUとして使用しているIdentifilerの検出閾値を、実験を含めより実際的に決定する方法を紹介。微量試料分析をより進めようとする著者らの意図があらわれる。

ⅱ)数学面からのアプローチ

「その容疑者が現場のDNAの持ち主である「正確な確率」を計算したい
~ 尤度比と事前確率を合せる話 ~」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

尤度比いくつ、何倍確からしいというのは、実際どのような意味をもつのかを改めて考えてみる。恒例山田先生の難しい論理の易しい解説。サンプル事例が抜群!

2. 次回の予定について

 

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2011

法数学勉強会 11月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)実務面からのアプローチ

「コンセンサスを取る方法の信頼性に及ぼす影響について」(前田峻宏)

LCN解析における分析回数や結果のコンセンサスの取り方の違いが、結果の識別力や信頼性にどう影響するか

「LCN解析のガイドライン作成とその評価」(真鍋 翔)

Buckletonらが具体的なガイドラインや評価を発表してきたが、その評価とアリルドロップアウトの確率の求め方などの是非について

「微量試料分析に関する最近の動向」(玉木敬二)

ⅱ)数学面からのアプローチ

「混合試料の新しい分析法とその威力」(森 雄貴)

膨大なSNPを利用すれば、混合試料から参照とする人のDNAの混入の有無が判定できるか

「DNAプロファイリングにおける、DNA多型以外の情報の役割に関する考察」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

2. 次回の予定について

 

法数学勉強会 9月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)実務面からのアプローチ

「Identifiler検査におけるアリルピークの再現性について」
(真鍋 翔、玉木敬二)

単一個人のピークはHb(Heterozygote balance)が維持されているか、また、混合試料検査におけるピーク値を考慮した結果の解析の妥当性について、文献検索と実験検証により検討しました。

ⅱ)数学面からのアプローチ

「多人数一括DNAプロファイリングのための確率計算法に関する考察」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮、奈良原舞子)

大規模災害における身元確認では、血縁の有無の尤度比(肯定確率)の設定など、個々のマッチングの推計値を基に判断するのが、現在、行われている方法ですが、今回は、遺体のグループ対不明家族を待つ家族グループを一括してペアにして、その組み合わせの確率を考えて、全体の中からあるペアの正否について判断するという全く新しいアプローチを紹介していただきます。

2. 次回の予定について

 

法数学勉強会 6月特別会(終了)

日 時:平成23年6月15日(水) 評議員会終了後 ~ 約2時間程度
場 所:コラッセふくしま (第95次日本法医学会学術全国集会会場)
プログラム:

ⅰ)数学面からのアプローチ

「法数学に馴染みのあまりない方へお話」(玉木敬二)

・ベイズの定理、尤度比
・Wenkの式による2者間の血縁鑑定尤度比の式

「出現確率の話」(玉木敬二)

ⅱ)実務面からのアプローチ

「混合資料、微量資料のDNA鑑定 どこまで分析できるのか」(真鍋 翔)

・海外の指針にみる
・分析の実際と問題

「大規模災害におけるDNA鑑定について」(玉木敬二)

法数学勉強会 5月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)血縁鑑定におけるDNA鑑定の理論と実際

「ベイズの定理、2者間の血縁鑑定の原理(Wenkの式)について」
(玉木敬二)

ⅱ)大規模災害におけるDNA鑑定の理論と実際

「どのような試料が適するか-指針から学ぶこと-」(真鍋 翔)

・どこまでの血縁がindirect referenceとして有用か
・DNAが得られない場合に方策があるか

「複雑な血縁鑑定の理論とプログラム開発」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

・遺族が複数ある場合などの身元確認用の尤度比計算はどうやっておこなうか
・事前確率をどう考えるか

「DNA鑑定の進め方と問題点」(玉木敬二)

・進め方の手順をどうするか
・計算された尤度比をどう解釈するか
・DNA鑑定結果以外の情報をどう扱うか

2. 次回の予定について

 

法数学勉強会 2月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)数学面からのアプローチ

「尤度の比較と仮説検定とを比較する~P値のことなど~」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

尤度比検定という考え方

「血縁関係判定に利用可能なIBS法の紹介」
(東海大学法医学・人類遺伝学 大澤資樹 教授)

尤度比だけに頼らないもう一つの血縁鑑定

ⅱ)実務面からのアプローチ

「出現確率は非血縁集団における確率、では、血縁関係がある場合は?」
(玉木敬二)

現場試料と9ローカス以上の一致で、犯人は登録者の同胞といってよいか?

2. 次回の予定について

 

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2010

法数学勉強会 12月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)数学面からのアプローチ

「Tippettテストを用いた混合DNAプロファイルの解釈」(今中雅子)

P Gill Forensic Sci Int Genet (2008) 91-103 難解な論文をわかりやすく解説
LRに対する常識的な観念をかえさせられる?

「混合試料の関与者はAさんか、Aさんの血縁者か、という場合の尤度比算出」(竹内晴哉)

R Puch-Solis Science and Justice 50 (2010) 205-209

「今年の法数学勉強会のまとめ」(玉木敬二)

2. 次回の予定について

 

法数学勉強会 10月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)数学面からのアプローチ

「LCN(low copy number)試料のDNA分析における欧米の現状」
(竹内晴哉)

欧州と米国ではLCN分析に対して、なにが最も異なる論点であるかを探る
多数の論文を引用、集約

ⅱ)実務面からのアプローチ

「臓器移植例のDNA鑑定における留意点について」(藤本順平)

爪、毛髪などから判定できるか、できないか

「混合試料のDNA分析の指針について」(真鍋 翔)

原本となったISFGの指針から、ドイツやイギリスの指針を紹介

「わが国の混合試料分析の方針について」(玉木敬二)

何人までの分析が可能か、LCN試料はどうするか、など

2. 次回の予定について

 

法数学勉強会 8月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)数学面からのアプローチ

「DNA鑑定における仮説と事象の空間」
(京都大学ゲノム医学センター統計遺伝学 山田 亮 教授)

検察側の主張 vs. 弁護側の主張を伝統的な統計検定の枠組みから眺めてみる

ⅱ)実務面からのアプローチ

「DNA鑑定の結果の解釈に関するOpen Sourceで利用可能なソフトウェアの
紹介」(竹内晴哉)

・kinship testing [familias]
・crime case- DNA mixture [forensim、DNAMIX]

「アイデンティファイラー事例での検討」 (玉木敬二)

混合試料結果で被疑者アリルが出ていない場合の解釈

2. 次回の予定について

 

法数学勉強会 6月特別会~DNA鑑定における法数学の必要性~(終了)

日 時:平成22年6月23日(水) 評議員会終了後 ~ 約2時間半程度
場 所:タワーホール船堀 (第94次日本法医学会学術全国集会会場)
プログラム:

1. 法数学勉強会のすすめかた

2. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)数学面からのアプローチ

「RE Wenkの式(2者間の血縁鑑定の式)の紹介」(鳥巣陽子)…6月会より

・親子、同胞、第2度、第3度の血縁鑑定の尤度比の計算
・第3度血縁で尤度比があがらない理由

「混合試料における適性な評価法について」(竹内晴哉)…4月、6月会より

・Identifiler検査
・現在も混沌としている混合試料のY-STR検査における被疑者の関与推定
・N Fukshansky, Jianye Geの論文紹介
・独自評価法の呈示

ⅱ)実務面からのアプローチ

「肯定確率は一般にはどのように理解されているか」(玉木敬二)…4月会より

・講義で学生が理解しやすいベイズの定理の説明

「アリルピーク値をどう利用すべきか」(玉木敬二)…6月会より

・Identifiler事例での具体的検討(玉木敬二)…4月会より
・関連論文の紹介

 

法数学勉強会 6月会(終了)

プログラム:

1. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)数学面からのアプローチ

「RE Wenkの式(2者間の血縁鑑定の式)の紹介」(鳥巣陽子)

・親子、同胞、第2度、第3度の血縁鑑定の尤度比の計算
・第3度血縁で尤度比があがらない理由

「混合試料におけるY-STR鑑定の適性な評価法について」(竹内晴哉)

・現在も混沌としている混合試料のY-STR検査における被疑者の関与推定
・N Fukshansky, Jianye Ge の論文紹介
・独自評価法の呈示

ⅱ)実務面からのアプローチ

「アリルピーク値をどう利用すべきか」(玉木敬二)

・Identifiler検査における検討
・B Budowle、D Baldingの論文の紹介

「アイデンティファイラー事例での具体的検討」(玉木敬二)

・混合試料結果で2ローカスに被疑者アリルが出ていない場合の解釈

2. 次回の予定について

 

法数学勉強会 4月会(終了)

プログラム:

1. 法数学勉強会のすすめかたの説明(玉木敬二)

2. 話題提供とフリーディスカッション

ⅰ)数学面からのアプローチ

「確率とベイズの定理について」(玉木敬二)

・講義でエッセン・ミューラーの式はどれほど学生に理解されているか
・危うい肯定確率の解釈、警察や社会の印象
・否定確率を否定する理由
・なぜ尤度比なのか

ⅱ)実務面からのアプローチ

「Identifiler検査を用いた混合資料の分析結果の解釈について」(竹内晴哉)

・混合資料における人数推定
・尤度比を用いた被疑者の貢献度推定

「事例での具体的検討」(玉木敬二)

・アリルがあるローカスで8つ検出された場合、証拠としての価値はあるか

2. 次回の予定について

 

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